今、海外への長期滞在を考える場合の主要な問題はビザ(査証)にあるといえます。 旅券というよりパスポートというのが一般的なのと同様、査証というよりビザという 言葉の方が一般的になっています。ビザというのは事前入国許可証とでもいえるものです。 最近は、東西冷戦の終焉などもあって、多くの国が短期間の観光旅行などについては、 ビザを必要としていますが、中、長期の滞在となると話は別なのです。
昨今、ロング(ミドル)スティの対象国としてとりあげられる国は、
大きく2つに分けられます。1つはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、
ハワイ(アメリカ)といったいわゆる欧米系先進国です。
そしてもう一つはタイ、マレーシア、フィリピンといったNIES(ニーズ)諸国(韓国、
台湾、シンガポール、香港)につぐ、いわば「ネオ・ニーズ」ともいえる中進国です。
先進国のほとんどは、現在3ヶ月以内(カナダは最長6ヶ月)はノービザ(無査証)
での滞在を認めており、この期間内のロング・ミドルスティは自由ということになります。
3ヶ月以上、これら先進国に滞在しようとする場合は、長期滞在可能のリタイアメントビザ
を取得する必要があります。
しかし、このハードルは高く、例えばオーストラリア(都市部)は、56才以上で75万豪ドル
(約6,600万円)以上の資産を有し、年収が6.5万豪ドル(約570万円)以上あり、豪政府に
75万豪ドル以上投資できる人といった条件をクリアしなければなりません。
ならば、3ヶ月経ったら、いったん日本へ帰るか他国に出て、再び入国を繰り返せばいいのではないかと誰もが思いつくところです。
しかし、例えばハワイなどでは、こうした人に対する入国時の審査を厳しくしており、
パスポートの入出国印を見られて、あれこれ質問を浴びせられたという人も珍しくなくなって
きています。
何故でしょうか?先進国は、高福祉高負担で、国民の租税や社会保険の負担割合も日本や
アメリカの35%〜36%を除き、いずれも50%以上に達しています。
これら先進国は自国の年金生活者へのケアに追われており、短期の観光客以外の税金も
払わない外国からの年金生活者はいわば「招かざる客」というのが本音なのです。
これに対し、ネオニーズの中進国では少し事情を異にします。 いずれも現在、旺盛な経済成長を続けており、外国からの出資や預金は貴重な財源になります。 また、毎月安定した年金収入があり、これを消費してくれる人達は雇用の拡大にもつながり、 ありがたいお客ということになります。例えば、ネオニーズ一番人気のタイは 50才以上で80万バーツ(約230万円)以上をタイの銀行に預金する年金受給者 には1年更新のリタイアメントビザを発給しています。 マレーシアやフィリピンも同様なビザを発給しています。 これまで、ロングスティの希望国というと、まず先進国が先に来て、 タイやマレーシアはそのあとというのが定番でした。それが、最近は日本以上にかかる 生活費や入出国のハードルの高さ、更にはインターネットや2007年問題を控えての さまざまな団塊層向けのガイドブックなどの情報を通じて、ネオニーズの国々の人気 が台頭してきているのです。