本シリーズを執筆中の筆者が、8月中旬、上海を再訪しました。そのレポートを掲載します。
4ヶ月前の今年(2005年)4月、私は反日デモ下の上海に行きましたが、8月中旬、再びこの地を訪ねてみました。ちょうど戦後60年のそれも節目の時期でもあり、その後何が変わったかも見てみたかったからです。(前回レポートは本紙「反日デモ下の上海レポート」05年5月号に掲載)
当時、投石やペンキで破壊されていた日本総領事館にも行ってみました。周囲はロープが張られたままで、警察官が10余名で警戒していました。前回カメラをだしたらすぐ制止されそうになったので、
今回は隣の韓国領事館前にタクシーを止めたのですが、こちらもピリピリしていて警備員から警告を受けました。日本総領事館の建物に投げつけられた塗料は消されてしまいましたが、一部の窓のガラスはまだ修理がすんでいないような箇所もありました。
農村から都市を包囲する−−−とは、中国革命を成し遂げたかつての毛沢東主席が内線や抗日戦争の時に唱えたいわば基本方針ですが、今、全く別の形で都市が農村、農民に包囲されようとしています。皮肉なことに、北京で反日デモのあった翌日の4月10日、x江省東陽市で1万人以上の農民が公害に抗議して約3000人の警官隊と衝突するという事件が起きました。こうしたデモや衝突は広東省、四川省などでもあいついでいますが、8月に入って上海市の南京西路でも3週続けて市民によるデモが起きました。事実上、デモ行為などが厳しく統制されている中国、それも最大の国際都市の
中心街で「官制」でないデモが続いて起きたということは、当局側からしたら深刻な事態なのです。
今の中国は都市と農村、富裕層と貧困層の格差がものすごく広がっており、これに官僚の汚職、
コネ社会に対する庶民の怒りや急激な都市開発による土地の強制収容や公害などへの不満が頂点に達しつつあるのです。
4ヶ月前、上海市内であった日本語を少し話す男性と再び会いました。その彼は、この間の日中間の経緯などもふまえた上で前置きとして「もちろn日本の人達にもきちんとした歴史認識を持って欲しいと思うのは当然です。だけど大多数の庶民は目の前の不公平や権力者の不正、差別の方に怒っているのです。職場でもコネのある人やゴマをする人が偉くなっていくことへの不平不満が行き場のないほど広がっており、正直なところ、海の向こうの過去の話より毎日の生活への不平不満の方が何10倍も大きいに決まっています。」とはき捨てるように語ります。「中国人はゴミを平気で捨てるし、痰も平気ではく。まだまだだ。」と言っていた4ヶ月前よりそのトーンはきつくなっているように感じました。(2005.8.25記)