4月16日(土)〜18日(月)の3日間、私は上海に行ってきました。反日デモが予想されていたものの、 当初のマスコミ等の予想は、上海ではデモは起きないだろうというものでした。 そうは思えなかった私は、直接現地の実情を見るべく、現地に飛びました。 結果は、「マスコミの事前予想」に反し、日本領事館や近隣の日系レストランなどが、 大きな被害に会ってしまう事態になりました。 これについては、一部には「為政者によるガス抜き論」なども盛んに出されましたが、 私はそうした見方には全く懐疑的です。 現在の中国には、ガスを抜かせるような余裕はとてもあるとは思えないからです。 同時に、上海最大の繁華街、南京東路の日系レストランは、普段通り賑わっており、 その行列は外まであふれていました。一見矛盾するかに思える現象も、今の現実なのです。 この背景を探ると今の中国の苦悩が浮かび上がってきます。
昨年(2004年)5月、それまでの15ヶ国から一挙に10ヶ国増えて25カ国となった「拡大EU」。
このヨーロッ25カ国の総人口は4億5700万人で、G.D.Pは8.4兆ドルです。
これに対し、中国は12億8500万人、G.D.Pは1.4兆ドルと人口は3倍なのに、G.D.Pは
6分の1です。(ちなみに日本は、人口はほぼ中国の10分の1で、G.D.Pはほぼ2倍。)
つまりヨーロッパの3倍の人口で56の民族、102の言語を擁しながら1つの国家を成しているのが、
今の中国という訳です。
また、上海市の一人当たりのG.D.Pは4,600ドルなのに、最貧の貴州省は373ドルと13倍もの格差
があります。「欧州とアフリカが同居している」と言われる所以です。
こうした矛盾や不満を誰よりも知っている為政者からしたら、ガス抜きとか放置などということは、
もしかしたら、とんでもないことなのではないでしょうか。そのせいもあってでしょうか。
これ以外の上海は、総じて平穏でした。一番の名所・外灘(ワイタン)もいつも通りに賑わっていましたし、
黄浦江対岸、浦東地区の巨大ビルの電飾看板には、北京オリンピック(2008年)や上海万博(2010年)迄、
あと何日といった文字が鮮やかに映し出されていました。ニューヨークの摩天楼にも勝るとも劣らない程の、
この巨大ビル群を見ていると、この国は一体どこかと一瞬忘れてしまいそうです。
これから反日や国威発揚には格好のスケジュールが目白押しですが、当局側は押さえ込むでしょう。
「ネット勝手連」も無理はしないと思います。お互い天安門の二の舞は何としても避けなければならないでしょうから。
現地の人と接している限り、暴徒化したデモ隊との接触でもない限り、日本人だからといって
狙われるといったようなことは、今のところはないと思います。
ただ、9.11テロ以降、SARS、鳥インフルエンザ、津波に続くこの度の一連の反日デモで、
旅行業界や航空業界はまたしても手痛いダメージを食っています。
中国離れが回復するには、まだしばらく時間がかかりそうです。(2005.4.19記)