4月16日(土)〜18日(月)の3日間、私は上海に行ってきました。上海へ向かうCA(中国国際航空)機内は、 8〜9割の搭乗でした。SARS騒ぎの頃、ベトナムに向かう機内の1〜2割を想像していただけに意外でした。 もとより、乗客の多くは中国人でしたが。 4月2日、四川省成都で起きた反日デモが、急速に中国全土に広がりました。しかし、当初は、中国最大の国際都市・上海 には波及しないと言われていました。それは、上海は中国の顔であり、日本企業が6,000社近く進出し、在留邦人も4万人 近くいる為、当局側も何としても抑えるだろうというものでした。 しかし、そうは思えなかった私は、夏・秋に大きなツアーを抱えていたこともあり、現地の実情を把握すべく、 直接この目で現地の実情を見てみたいということもあり、単身上海に飛んだのです。 結果は、マスコミでも報道されている通り、上海の日本総領事館へのデモも大荒れになりましたし、 この近くの日本料理店や日本軍も破壊されてしまいました。
同時に、最大の繁華街・南京東路の吉野家も味千ラーメンも与作という和食の店も普段と同じように人は
入っていましたし、特に日系の味千ラーメンには店の外まで行列ができていました。この行列のほとんどは、
地元の中国人でした。
また、日本語を少し話す52歳の男性は「歴史上いろんな問題はあったけど、将来が大事。今を問題にするなら、
権力者の不正やワイロこそ糾すべし。中国人はゴミを平気で捨てるし、痰も平気で吐く。まだまだだ。」と自国の
問題点を淡々と話しました。私が日本人だからということを割り引いても正鵠(せいこく)を射た話といえます。
自由にものが言えない社会とはいっても、4,000年の歴史を持ち、三国志を生んだ四大文明発祥の地の国民ゆえ、
客観的な自国の弱点も良く知っているといえるでしょう。
一部に「為政者がガス抜きでやらせている」かの論調もありますが、これは必ずしも的を射ているとは私には思えません。
むしろ、ガス抜きなら「愛国無罪」と、民主化を求める勝手連のようなネット層が、こらはこれとして、したたかに活用
しているように思えてならないのです。現在の中国は前述した権力者の腐敗だけでなく、都市と農村の格差、
今や資本主義国以上に開いた富裕層と貧困層の差など、いつ爆発してもおかしくない程の矛盾を内包しています。
6,000ドルの壁という、その国が民主主義に転化する際の国民一人当たりのGDP(国内総生産)のメルクマールがあると
言われています。中国もひたひたと、その壁に近づきつつありますが、それ以上に腐敗と格差の矛盾の方が
大きいかも知れません。反日デモで破壊されたあとの、日本総領事館にも行ってみましたが、周りを警察官が警備していて、
カメラのシャッターを切ろうとしたら、すぐ制止してきました。タクシーのドライバーに頼んで、再度、領事館を一周してシャッター
を切りました。人によっては、カメラを取り上げられたとも聞きました。すでに、あれだけTV・新聞で報道されていても、
なお、制止しようという意図はどこにあるのでしょうか。
こうしたことの根本原因は、民主主義が定着していないことだけではありません。
タクシーに乗ると、左側の運転席を助手席側にまではみ出す程、ぐるりとアクリル板でガードしているのに驚かされます。
防犯対策なのでしょうが、お金を受け渡しするのが不自由な程、しっかりカバーしています。また、店などで
100元札(約1,500円)を出すと、2,3人に1人は手触りを確かめたり、ピンと張って透かして見たりします。
これもニセ札に対する防犯意識でしょうか。
それは、注意深いというよりも、日常の経済活動や治安が日本のそれとは比較にならない程、不安だということの
証しと言わざるを得ないでしょう。(2005.4.19記)